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はじめに

 我々憂宗護法同盟が前著『法主の大陰謀』を上梓してから八年半の歳月が過ぎ

た。『法主の大陰謀』は、『法主の大醜聞』『法主ファミリーの大悪行』に次ぐ、

日蓮正宗法主・阿部日顕糾弾の書の第三弾であり、阿部日顕をはじめ、現宗門執

行部が唯一の切り札にしている「唯授一人の血脈付法」に対して、真っ向から論

断を加えたものであった。幸い、前二作以上に、宗内外から多くの賛同と反響の

声が寄せられた。

 日顕は昭和五十四年七月二十二日、先師・日達上人が逝去された直後、緊急重

役会議で、「猊下と、自分と、二人きりの場において、猊下より自分に対し内々

に、御相承の儀に関するお言葉があり、これについての甚深の御法門の御指南を

賜ったことを御披露する」と、前年の昭和五十三年四月十五日に、自分が血脈相

承を受けていたことを主張し、宗門の伝統に則った正式な相承の儀式も経ずに、

六十七世法主の座に就いた。

 しかし、この日顕の相承には、「証拠」も「証人」も、何一つ、誰一人なかっ

た。正信会が日顕の血脈相承に異を唱え、地位不存在確認の訴訟と職務執行停止

仮処分の申請を裁判所に提出した際にも、日顕側は「昭和五十三年四月十五日の

何時から」「大奥のどの部屋で」「どのように相承されたのか」という、ごく素

朴な疑問についても、何ら明快なる答弁をすることができなかったのである。

 前作では、こうした日顕の相承をめぐって、日達上人が倒れてから日顕が登座

するまでのドキュメント、日顕が相承されたという「昭和五十三年四月十五日」

の全貌を明らかにし、さらには、歴代の相承と日顕のそれとを比較するなど、疑

惑の徹底追及を試みた。

 その後、この八年間で、日顕の相承に関する疑念は、ますます深まった。日顕

の言動それ自体が、自ら相承なき「偽法主」であることを証明するかの如き、異

常極まる狂言悪行の連続だったからである。

 中でも、先師・日達上人の御事跡をことごとく本山から葬り去ったことなど、

その最たるものであろう。とりわけ、日達上人が、「もとより正本堂は、本門戒

壇の大御本尊安置の霊堂にして、梵天帝釈等も来下してふみ給うべき戒壇也」

(昭和四十四年十月十二日、正本堂定礎式「表白文」)と定められた正本堂の破

壊は、まさしく「先師違背」「先師否定」の極みであり、さらには「本門戒壇」

破壊の大謗法である。

 そして平成十一年七月には、「河辺メモ」の流出により、日顕の「大御本尊偽

物」発言が発覚した。このいわば平成版「板本尊偽作論」は、一宗派の最高位に

ある者が、就任前年(昭和五十三年)の発言とはいえ、自らの宗派の信仰の根本

対境を「偽物」と断じたセンセーショナルな”事件”として、宗の内外を問わず

大きな波紋を広げた。

 さらに立宗七百五十年を迎えた昨年前半、宗門は我々同盟の寺院を含む三か寺

に対する明け渡し請求訴訟において、最高裁で相次ぎ敗訴した。いずれの裁判で

も、被告の寺院側は、日顕が血脈相承を受けていない、即ち正式な法主ではない

ことを主張し、宗門側はそれを覆すことができなかったのである。この”事件”

は、登座から二十数年が過ぎたというのに、いまだに日顕が自らの疑惑を払拭で

きずにもがき苦しんでいる姿を如実に露呈したのである。

 以来、日顕の「血脈詐称」疑惑が、にわかに再燃。前作の再版を望む声も聞か

れたことは嬉しい限りである。

 そこで、本書では、前作に加えて、この八年間で明らかになった河辺メモ、山

崎正友の日顕宛書簡等、新事実を大幅に加筆し、改めて日顕の「法主詐称の大陰

謀」に鋭くメスをいれた。特に最終章に初公開した堀日亨上人の血脈観は、日顕

のそれとはまったく対照的で、血脈の本義とは何か、宗門改革を志す我々にとっ

ても大いなる指針となった。

 「はたして日顕には相承があったのか?」ーこうしたこれまでの疑難を単純に

くり返すことにとどまらず、いかに日顕の血脈相承がインチキか、宗祖本来の血

脈観に照らし、より鮮明になったものと自負している。

 もちろん、本書の中心テーマは、「六十七世」とはいったい何者なのか、「嘘」

と「陰謀」で猊座を奪った阿部日顕の相承の事実関係に的を絞り込んでいる。し

かし、それは宗祖以来の血脈そのものを根底から突き崩すことが目的ではない。

 前作でも確認したことだが、宗祖大聖人は「信心の血脈なくんば法華経を持つ

とも無益なり」と仰せである。

 相承の有無、血脈の断・不断の次元を超えて、結局は「信心の血脈」以外には

ないのである’この結論こそが、我々憂宗護法同盟の存在理由であり、我々の運

動の目的なのである。

平成十五年七月十六日

  「立正安国論」奏呈の日に

憂宗護法同盟代表 小板橋明英

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